1.東京証券取引所の市場区分の変更とTOPIXの見直し

我が国の株式市場の動向を示す有力な株価指数として、TOPIX(東証株価指数)があります。
これまで、TOPIXは、東京証券取引所の第一部に上場している銘柄を構成銘柄とし、これらの株価の変動を反映する指数でした。
しかしながら、2022年4月から、東京証券取引所の市場区分について、第一部、第二部等の区分が廃止され、プライム市場、スタンダード市場、グロース市場の三区分に再編されることに伴い、TOPIXについても見直しが行われることとされました。

 

2.新しいTOPIXの考え方

TOPIXの見直しにおいては、従来、東京証券取引所の第一部に上場している銘柄をTOPIXの構成銘柄としていたのですが、考え方を改め、プライム、スタンダード、グロースの各市場のどの市場に上場しているかにかかわらず、流通株式の時価総額が100億円以上(及び年間売買代金回転率が0.2回転以上)の銘柄を構成銘柄とすることになりました。
このため、従来は東京証券取引所第一部に上場していた銘柄でも、「流通株式時価総額が100億円以上」等の条件を満たさなければ、TOPIXの対象銘柄から外れることになりました。

 

3.移行措置

ただし、構成銘柄の急変を避けるため、従来TOPIXの構成銘柄であった銘柄については、2022年4月以降も引き続きTOPIXの構成銘柄にする一方、構成比率を、2022年10月末から3か月ごとに1割づつ、合計10回に分けて段階的に引き下げ、最終的に2025年1月末に構成銘柄から除外するという移行措置がとられることになりました。

 

4.2022年10月末の移行措置

そのため、2022年10月末に、「流通株式時価総額が100億円以上」という条件を満たさない銘柄については、第1回目として、従来の構成比率が1割減少することとされました。
9月末時点でTOPIXの構成銘柄は2170ありましたが、新基準の方が厳しいため、493の銘柄が構成比率減少の移行措置の対象とされました。

 

5.影響

TOPIXの対象銘柄が変われば、TOPIXの指数自体の変動が、微妙に変化することになると思われます。
さらに、最近では、TOPIXが我が国の代表的な株価指数であることから、TOPIXの動きに連動するようにした投資信託(パッシブ運用)が増加しています。また、大きな機関投資家においては、投資成績の測定のための基準となる指標(ベンチマーク)として、TOPIXを参考としているところも多くなっています。
TOPIXの動きとの連動性を高めるためには、TOPIXの構成比率に応じた株式保有を行うことが有効です。そのため、投資戦略としてTOPIXの構成比率を意識した株式保有を行う投資信託や機関投資家も多いものと思われます。
こうしたことから、今後、移行措置において、TOPIXの構成比率が段階的に減少していく銘柄については、TOPIX連動を意識してきた投資信託や大口機関投資家がその保有銘柄についてどう対応していくのかという点が注目されます。

以上

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